顎は痛くないのに食いしばりが気になる|こめかみの張り・喉のつまり・息苦しさとの関係

執筆者:鍼灸師 赤岩聡
顎の症状だけでなく、喉や呼吸の違和感を訴える方もいらっしゃいます。施術では、顎周辺だけでなく身体全体の状態をみることを大切にしています。

「顎は痛くないけれど、食いしばりが気になる」
「こめかみや顎の周りがいつも張っている」
「喉がつまるような、息苦しい感じがする」
このような症状が、いくつか重なっていませんか?
最近、赤岩治療院の「顎関節症改善コース」を希望して来院される方のお話を伺っていると、顎そのものの痛みよりも、食いしばりやこめかみの張り、喉の違和感、呼吸のしにくさなどを気にされている方もいらっしゃいます。
今回は、こうした一見別々にみえる不調について、顎周辺の筋肉や身体の緊張という視点から考えてみたいと思います。
「顎が痛い」だけではない、顎関節症改善コースで聞かれるさまざまな不調
顎関節症というと、顎の痛みや、口が開きにくいといった症状を思い浮かべる方が多いと思います。
しかし実際の問診では、「顎そのものの痛み」はそれほど気になっていないという方からご相談を受けることもあります。
最近のご相談でも、
- 食いしばりがある
- こめかみや側頭筋が張る
- 咬筋や顎の周りがこる
- 顎の下から喉にかけて緊張している感じがする
- 喉がつまっていて、通りにくいように感じる
- 息がしにくい、深く呼吸しにくい
など、顎周辺だけにとどまらない、さまざまな違和感を訴える方がいらっしゃいます。
患者さんのお話を丁寧に伺っていると、そこから
- 「顎周りの緊張」
- 「飲み込みにくさ」
- 「喉のつまり」
- 「呼吸の浅さ」
という、いくつかのキーワードが浮かび上がってきます。
これらは、どのようにつながっているのでしょうか。
食いしばりと「顎周りの緊張」
食いしばりで特に負担がかかりやすいのが、「咬筋(こうきん)」と「側頭筋(そくとうきん)」です。
咬筋は頬から顎にかけてあり、側頭筋はこめかみから頭の横に広がっています。
どちらも顎を動かすために重要な筋肉です。
無意識に上下の歯を強く接触させる時間が長くなると、こうした筋肉に負担がかかり、
- 頬がこる
- 顎の周りが重い
- こめかみが張る
- 頭の横が締め付けられるように感じる
- 首や肩までこる
といった不調につながることがあります。
このため、食いしばりがあっても、必ずしも「顎が痛い」という症状として現れるとは限りません。
「顎はそれほど気にならないけれど、こめかみが張る」「頬や顎周りがこる」といった形で、顎を動かす筋肉の緊張を感じている方もいらっしゃいます。
顎関節症という名前から『顎の関節だけの問題』と考えがちですが、実際には、顎を動かすときに働くさまざまな筋肉の状態も重要です。
「飲み込みにくさ」と顎の下の筋肉

顎周りでもう一つ注目したいのが、顎の下から舌骨周辺にある筋肉です。
この部分には、顎二腹筋、顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋など、「舌骨上筋群」と呼ばれる筋肉があります。
これらの筋肉は、顎の動きだけでなく、舌骨を動かし、飲み込む動作にも関わっています。
顎関節症の方を対象とした研究でも、噛むときの痛みや疲れだけでなく、一部の方に飲み込みに関する症状がみられることが報告されています。
「飲み込みにくい=食いしばりや顎が原因」ということではありませんが、
食いしばりがある+こめかみや顎の下が張っている+喉周辺にも違和感がある
という場合には、顎関節だけでなく、顎の下から首・喉周囲まで含めて状態をみていく視点も必要になります。
「喉のつまり」「呼吸の浅さ」と身体の緊張
喉がつまる感じや、深く呼吸しにくい感覚についても、原因は一つではありません。
喉そのものだけでなく、首や肩、胸郭、背中など、身体のさまざまな場所に緊張がみられる方もいらっしゃいます。
また、仕事に集中しているときや、不安や緊張が続いているときに、無意識に歯を食いしばったり、肩に力が入ったり、呼吸が浅くなったりすることもあります。
身体が緊張することで食いしばりや呼吸の浅さが現れることもあれば、不快な症状が続くことがストレスとなり、さらに身体の緊張につながることもあります。
そのため、顎・喉・呼吸をそれぞれ別々に考えるのではなく、身体全体にどのような緊張が現れているのかをみることも大切だと考えています。
赤岩治療院では、顎だけでなく身体全体をみて施術します

食いしばりや顎周辺の症状で来院された場合でも、赤岩治療院では「顎だけ」をみて施術するわけではありません。
以下のような、顎を動かす筋肉や、その周辺の緊張を確認します。
- 咬筋
- 側頭筋
- こめかみ
- 顎の下
- 首・肩
また、顎周辺だけでなく、首や肩のこり、背中の張り、呼吸のしにくさ、身体全体のこわばりなど、お一人おひとりが感じている症状を問診でお聞きします。
そのため当院では、症状が出ている場所だけを見るのではなく、「身体のどこに、どのような緊張が現れているのか」を確認しながら施術を組み立てています。
鍼灸に手技を組み合わせ、その方の状態に合わせて、顎周辺から首・肩、背中、胸郭、お腹、手足まで施術をしていきます。
「呼吸が浅い」と感じる方では、胸郭・背中・お腹も確認します

特に、
・うまく息が吸えない
・呼吸が浅い感じがする
・深く息を吸いにくい
・喉がつまっている感じ
といった訴えがある場合には、顎や首だけでなく、胸郭・背中・みぞおち・お腹の状態も確認します。
呼吸をするときには胸郭が広がり、横隔膜が動き、それに伴ってお腹も動きます。
実際に息苦しさのある方を施術していると、首や背中だけではなく、胸郭やみぞおち、お腹側にも強く力が入っていることがあります。
こうした点は、日々の施術を通して、私自身が大切だと感じている部分です。
【背中だけでなく「お腹側」も整える】

呼吸が浅い方では、背中が非常に硬くなっていることがあります。
そのため背中をゆるめることは大切ですが、施術をしていると、背中側だけを整えても、まだ身体全体の緊張が抜けきっていないと感じることがあります。
そうした場合には、胸郭やみぞおち、お腹側にも緊張が残っていないかを確認し、必要に応じて施術を加えていきます。
こうした症状への施術を重ねる中で、身体の表と裏の両方から緊張を整えていくことが、自然に呼吸しやすい状態を取り戻していくうえで大切だと感じています。
【施術を重ねる中で、呼吸がラクになってきた方も】
すべての方に同じような変化が起こるということではありませんが、施術を続ける中で印象に残っていることがあります。
長く息苦しさを感じていた方が、回を重ねながら首・肩・背中・胸郭・お腹など身体全体の緊張を整えていく中で、
- 「以前より呼吸がラクになりました」
- 「普通に息ができるようになってきました」
と話されるようになったことがあります。
一度の施術ですべてが変わったわけではありませんが、少しずつ身体の緊張が変化していく中で、呼吸のしづらさも徐々に気にならなくなっていかれました。
こうした経験からも、息苦しさを伴う方では、症状を感じている喉だけではなく、背中と胸郭・お腹の両方を含めて身体全体をみることを大切にしています。
喉のつまり・飲み込みにくさが気になる方へ
ここまで、顎周辺の緊張と喉・呼吸についてお話ししてきましたが、とても大切なことがあります。
もし、
- 食べ物や飲み物が実際につかえる
- むせることが増えた
- 飲み込みにくさが続いている、または強くなっている
- 声の変化がある
- 強い胸痛や急な息苦しさがある
といった症状がある場合には、まず医療機関で原因を確認しておくことも大切です。
また、「喉に何かつまっている感じがするものの、検査では明らかな異常がみつからない」という症状は、咽喉頭異常感症や梅核気(ヒステリー球)などと呼ばれることもあります。
梅核気と逆流性食道炎、ストレスなどについては、以前のブログで詳しくご紹介しています。
→「喉のつかえ感が治らない方へ|ヒステリー球を整える鍼灸治療」もあわせてご覧ください。
まとめ
今回は、くいしばりやこめかみの張りと同時にみられる、
- 顎周りの緊張
- 飲み込みにくさ
- 喉のつまり
- 呼吸の浅さ
といった症状についてと、当院での施術内容についてご紹介しました。
顎関節は、舌・喉・首、さらに胸郭や背中、お腹など、それぞれが関わり合いながら動いていることから、症状が多岐にわたりやすいということが言えると思います。
そのため赤岩治療院では、「顎が痛いかどうか」だけで判断するのではなく、食いしばりやこめかみの張り、顎の下の緊張、呼吸の状態なども含めて身体全体をみることを大切にしています。
「顎そのものはそれほど痛くないけれど、食いしばりが気になる」
「こめかみや顎の下がいつも張っている」
「顎周辺の緊張と一緒に、喉や呼吸にも違和感を感じている」
といった症状が気になる方は、ぜひご相談ください。
ご予約のページへ関連ページ



