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更年期に増える“眠りの不調”に鍼灸で整える自然な睡眠力

赤岩優子の写真

執筆者:鍼灸師 赤岩優子

眠れない夜に不安を感じている方へ、鍼灸で身体の内側から気持ちの良い睡眠を目指してみませんか。

更年期に増える“眠りの不調”に鍼灸で整える自然な睡眠力

「夜中に何度も目が覚める」「頭が冴えて眠れない」「夢ばかり見て、朝起きてもスッキリしない」
最近、こうした眠りの悩みを抱える50〜60代の女性が増えています。

「年齢のせいかもしれない」とあきらめてしまう方も少なくありませんが、実は他にもいくつかの要因があります。

更年期にともなうホルモンの変化に加え、自律神経の乱れや、東洋医学でいう「気・血・陰陽」のバランスの崩れも、眠りの質に深く関係しています。
そのバランスを穏やかに整え、「薬に頼らず自然な眠りを取り戻す」それをサポートできるのが、鍼灸(しんきゅう)治療です。

このブログでは、更年期に起こりやすい眠りの変化と、鍼灸によるアプローチについてご紹介します。

更年期の女性に多い「眠りの質の低下」とは?

これまでぐっすり眠れていたのに、50歳前後を境に眠りが不安定になったり、寝ても疲れが取れないと感じる方が増えています。
その背景には、女性ホルモンの減少や自律神経の乱れ、さらには東洋医学でいう「気・血・陰陽」のバランスの崩れなど、さまざまな要因が関係しています。

では、なぜ更年期には眠りの質が低下しやすいのでしょうか。
ここではまず、西洋医学と東洋医学の両面から、その仕組みをひも解いていきましょう。

西洋医学からみた「眠りの浅さ」

不眠の原因

  1. ホルモンバランスの変化

更年期以降、エストロゲンの減少により、自律神経のバランスが崩れやすくなります。
体温調節が難しくなり、のぼせ・発汗・動悸などの症状とともに、「寝つけない」「途中で目が覚める」といった不眠が起こりやすくなります。

  1. ストレスや考え事・不安などの心理的要因

家庭や仕事、人間関係など、50代・60代の女性は心の負担を抱えやすい時期です。

ストレスは交感神経を刺激し、脳が“オン”の状態のままになります。それにより、体が「戦うモード」から抜け出せなくなり、眠りに入る準備ができにくくなるのです。

その結果、夜になっても脳が休まらず、「頭が起きている感じ」「夢が多い」状態になります。

  1. 睡眠環境や生活習慣の影響

寝る前のスマートフォンやカフェイン、運動不足、寝室の明るさ・温度など、日常のちょっとした要因も睡眠の質を低下させる原因になります。

東洋医学からみた「気・血・陰陽」の乱れによる眠りへの影響

東洋医学で眠りとは

東洋医学では、私たちの心身の状態は「気(き)・血(けつ)・陰陽(いんよう)」のバランスによって保たれていると考えられています。

「気」は生命活動のエネルギー、「血」は心身を潤す栄養、「陰陽」は体の冷えと熱、静と動のような相反する働きの調和を意味します。

これらは年齢とともに少しずつ変化し、特に50〜60代の女性ではその影響が眠りの質に現れることがあります。
以下に、「気・血・陰陽」のバランスの乱れが眠りに及ぼす主な影響をまとめます。

  • 「気」の滞り(気滞・気逆)
    ストレスや考え事が多いと、気が胸や頭にこもり、呼吸が浅くなり、体全体の流れが悪くなります。
    「頭が冴える」「寝つけない」「息苦しい」
  • 「血」の不足(血虚)
    過労や思考の使いすぎで「血」が足りなくなると、心を落ち着ける力が弱まります。
    「夢が多い」「眠りが浅い」「不安感」
  • 「陰・陽」の乱れ(腎陰虚・心腎不交)
    更年期に多い「陰虚」(いんきょ)では、身体を冷ます力が弱くなり、上半身に熱がこもりやすくなります。
    「のぼせ」「寝汗」「寝つけない」

鍼灸は、このような「気・血・陰陽」の乱れに対して、心身のバランスを整え自然な眠りを取り戻すサポートができます。

当院の「不眠改善の鍼灸治療」について

内関に鍼

赤岩治療院では、不眠や眠りの浅さ、寝つきの悪さなどでお悩みの方に対し、心と体のバランスを整える鍼灸治療を行っています。
不眠といっても、ストレスや考えごとで頭が冴えてしまう方や、更年期のホルモン変化によって眠りが浅くなる方など、その原因はさまざまです。

当院では、お一人おひとりの体質や心身の状態を丁寧に見極めながら、最適な治療を進めてまいります。

太衝に鍼

“眠れる身体”へ導くツボと東洋医学の視点

東洋医学では、不眠は単なる「眠れない」という症状ではなく、心身のバランスの乱れによって生じると考えます。気・血・陰陽の調和が崩れることで、呼吸が浅くなったり、心が落ち着かなくなったりして、自然な眠りが妨げられるのです。

鍼灸治療では、こうした乱れを整えるために、目的に応じたツボ(経穴)を選び、やさしく刺激していきます。以下は、不眠改善に向けた主な治療方針と、それぞれに対応する経穴の一例です。

目的 方針 主な経穴(ツボ)
気の流れを整える 疏肝利気(そかんりき) 太衝・合谷・膻中・百会
心神を鎮める 安神・清熱 神門・百会・間使・内関
血を補い夢を減らす 補血・養心安神 三陰交・心兪・脾兪・肝兪
更年期の調整 補腎・調陰陽 腎兪・命門・太谿・関元

不眠改善に向けた鍼灸治療の流れと主なアプローチ

個室鍼灸院

【治療の流れ】
まずは東洋医学の考え方に基づいて、体の状態を丁寧に確認します。

次に、脈や舌の状態、肌の質、体の冷え、筋肉の緊張など身体全体をトータルに診て、「気・血・陰陽」のバランスを把握していきます。

こうして得られた情報をもとに、やさしい鍼(はり)とお灸を用いて、全身の状態を整えていきます。

【主な治療のアプローチ】

  • 頭や胸にこもった「気」を下げて、頭の重だるさを取る
  • 心の緊張をゆるめて、安心感を生み出す
  • 血を補い、体と心をしっかりと落ち着かせる
  • 腎(ホルモン・自律神経の土台)を整え、更年期特有の揺らぎをやわらげる

鍼灸は、薬のように無理に「眠らせる」のではなく、“眠れる身体”を取り戻すための治療です。

施術によって体内の滞りが解消され、呼吸が深くなってくると、気持ちがのんびりして夜には自然とまぶたが重くなり、朝の目覚めもすっきりしていきます。

鍼灸で感じる眠りの変化と、お客さまの声

当院で不眠改善に向けた鍼灸治療を受けられた方の多くが、次のような感想をお話しくださいます。

施術の効果のあらわれ方には個人差がありますが、1回の施術で変化を感じる方もいれば、数回かけて徐々に眠りのリズムが整っていく方もいらっしゃいます。

お一人おひとりの体の状態に合わせて、焦らずゆっくりと整えていくことが、改善につながりやすく、また効果の定着にもつながると考えています。

  • 「頭がスッキリして軽くなった」
  • 「呼吸が深く吸えるようになったし、癒された」
  • 「鍼灸を受けた夜はグッスリ眠れて嬉しい」

このようなお悩みをお持ちの方へ

  • 眠りが浅く、何度も目が覚める
  • 頭が冴えてなかなか眠れない
  • 夢ばかり見て、熟睡感がない
  • 更年期以降、眠りの質が落ちたと感じる
  • ストレスや緊張で心が休まらない

赤岩治療院では、こうしたお悩みに寄り添いながら、鍼灸によって“休む力”を静かに呼び覚まし、深く穏やかな眠りへと導いていきます。

眠りでお悩みの方は、是非当院へご相談ください。

まとめ

眠りの質の低下は、体の不調や心の疲れのサインでもあります。
鍼灸治療は、薬に頼らず、身体本来の“眠る力”を回復させる優しい治療法です。

「心と腎をつなぎ、気と血を整える」ことで、夜は穏やかに、朝はすっきりと。
それが鍼灸が目指す“自然な眠り”です。

眠れない夜に悩んでいる方、「年齢のせい」と諦める前に、ぜひ一度、鍼灸による眠りのケアを試してみてください。

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