春先の不調整える!鍼灸で心と体をケアする方法

執筆者:鍼灸師 赤岩優子
季節の変わり目に、鍼灸で心と体を整えてみませんか?

暖かな陽ざしを感じる季節になりましたね。桜のつぼみがほころび始め、少しずつコートやマフラーを手放せる日が増えてきました。しかし、朝晩の寒暖差や花粉、急な天候の変化により、体調が揺らぎやすい時期でもあります。このような時期に、本来の調子を取り戻し、心地よく過ごすための方法として「鍼灸治療」をおすすめします。東洋医学の視点から、春の体調管理に役立つヒントをお伝えします。
春は「気」のバランスが乱れやすい季節
東洋医学では、春は「肝」の季節とされ、五臓の中でも「肝」の働きが活発になる時期です。
「肝」は、感情やストレスのコントロール、さらには消化や代謝にも深く関わっています。そのため、この季節は「気(エネルギー)」のバランスが崩れやすく、不調が現れやすくなります。
春先に多い不調
- イライラや落ち込み
「肝」の気が滞ると感情のバランスが乱れ、些細なことでイライラしたり、気分が落ち込みやすくなります。 - 消化器系の不調
食欲不振や胃もたれ、腹部の不快感など、消化器系にも影響が及びやすくなります。 - 頭痛や肩こり
「肝」の気の滞りは血行不良を引き起こし、頭痛や肩こり、筋肉のこわばりの原因になることも。 - 睡眠のトラブル
眠りが浅くなったり、夢を多く見たり、朝早く目が覚めてしまうことがあります。
鍼灸治療で春先の不調を整える
春先に多いの不調には、それぞれの症状に合わせたケアと、「肝」のバランスを整える鍼灸治療のダブルアプローチが効果的です。
鍼灸治療は、東洋医学の「人間も自然の一部」とした考えから、個々が持つ自然治癒力を高める施術です。
当院では、お一人おひとりの状態に合わせた治療を行い、心地よい刺激でリラックスしながら「気」の巡りを整えます。
具体的な治療内容
1.イライラや落ち込みに対する治療
「百会(ひゃくえ)」「太衝(たいしょう)」「内関(ないかん)」といったツボを刺激し、交感神経と副交感神経のバランスを整えます。
- 百会(頭頂部):自律神経を調整し、ストレス緩和に効果的
- 太衝(足の甲):気の滞りを解消し、自律神経を整えイライラを改善
- 内関(手首の内側):自律神経のバランスを整え、胃腸の働きを促進
2.消化器系の不調に対する治療
消化不良や胃腸の働きの低下には、「中脘(ちゅうかん)」「足三里(あしさんり)」「天枢(てんすう)」のツボを使用します。
- 中脘(みぞおち):胃の働きを整え、胃もたれや消化不良を改善
- 足三里(膝下):消化器全般の働きを促進し、胃腸の調子を整える
- 天枢(おへその横):腸の動きを活発にし、便秘や下痢を改善
- 関元(かんげん):消化器全般の働きを高める
3.頭痛や肩こりに対する治療
頭痛や肩こりには、「風池(ふうち)」「肩井(けんせい)」「合谷(ごうこく)」のツボを刺激します。
- 風池(首の後ろ):血流を促し、頭痛や目の疲れを緩和
- 肩井(肩の中央):肩こりをほぐし、血流を改善
- 合谷(手の甲):首や肩の緊張を和らげ、頭痛を軽減
4.睡眠のトラブルに対する治療
睡眠の質を向上させるためには、「安眠(あんみん)」「神門(しんもん)」「失眠(しつみん)」のツボを活用します。
- 安眠(耳の後ろ):神経を落ち着かせ、睡眠の質を向上
- 神門(手首):リラックス効果を高め、不眠を改善
- 内関(手首):不安を取り除き、寝つきを良くする
本来の調子を取り戻すヒント
「肝」は、五行論では木の性質を持つとされます。春は木々が芽吹き、草花が伸びやかに成長する季節。もし心身の不調を感じているなら、自然に触れる時間を増やしてみてはいかがでしょうか。
木々や草花を観察していると、それぞれが自分らしく枝を伸ばし、花を咲かせていることに気づきます。そんな自然の営みから、「本来の自分を大切にすること」のヒントを得られるかもしれません。
「のびやかな気持ち」で過ごすために、無理や我慢を少しお休みしましょう。行きたかった場所へ出かけたり、やってみたかったことに挑戦したり、あるいは何もしない時間を味わうのもおすすめです。
「気」がのびやかになる日常生活のヒント
鍼灸治療とあわせて、日々の生活の中でも「気」の流れを意識することが大切です。気の流れは目には見えませんが、「気持ちがスッキリしているかどうか」を指標にするとよいでしょう。
- 十分な睡眠と規則正しい生活
質の良い睡眠は、体や心、脳の疲労をリセットする基本。できる範囲で決まった時間に寝起きすることで、体内リズムが整い、「気」の流れもスムーズになります。 - バランスのとれた食事
季節の野菜や果物を取り入れ、体に必要な栄養素をしっかり補給しましょう。特に、消化器系を助ける温かいスープやお茶を摂ることで、内側から健康をサポートできます。 - 適度な運動とリラックス
軽いストレッチやウォーキング、ヨガなどを取り入れると、「気」の巡りが良くなります。また、呼吸法や瞑想はストレスを和らげる効果が。気分が沈んだときは、短い散歩でもリフレッシュできますよ。 - 趣味やリラクゼーションの時間を大切に
仕事や家事に追われる中で、自分だけのリラックス時間を作ることも大切です。お気に入りの音楽を聴いたり、ゆったりとお茶を楽しんだり、小さな工夫で「気」がのびやかになり、心に余裕が生まれます。
まとめ
春先は、心身ともに変化が起こりやすい季節ですが、鍼灸治療で「気」の流れを整え、生活の中でリラックスや適度な運動、バランスの取れた食事を意識することで、本来の調子を取り戻すことができます。
特に、東洋医学の視点では春は「肝」の気が影響を受けやすく、不安定になりがちですが、鍼灸はそうした症状にも優しく働きかけることが可能です。
季節の変わり目も心地よく過ごせるよう、皆さまの健康をサポートできればと思っています。もし体調にお悩みがありましたら、ぜひ一度鍼灸治療を試してみてください。
どうぞお気軽にご相談ください。
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